うまれもせずに眠っている
最初の自傷癖
あいされる日々はまほろば
ひとつなぎの細胞をちぎる戯れ
所在をなくした幼さ
みずうみのはじまり

心臓にこぼれた銀河
キンモクセイが泣いた夜
おそろいの標本
やさしくいろづいた感情をなぞる
まだ名もない宝石
目蓋のうらにある国

うしろめたさと下心
愛の匂いが消えない部屋
いつかはなくすまなざし
何等星のぼく
生きていくための寝台
三日月よりとおい爪あと

ほどかれない海
痛んでもがらくた
やさしさの偶像
嘘ばかり結って生きていた
きみの本当の眉のかたちはわからない
心臓の北斗七星

ぼくののみこめないいびつ
不完全結合
あたえられた季節を宝箱へ
魂にふれさせてくれたこと
やわい鎧
お前がいなくとも春は来るのだし
さみしさこじらせてもばかみたい



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